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大気光象3: レアハロ
ここに掲載したハロはどれも(少なくとも日本では)レアなものばかりで、年に数回から数年に1回の目撃チャンスしかないものです。本サイトではこのような現象を「レアハロ」と定義します。出現頻度は低く、目撃するには努力に加えて運も必要。こんなレアな現象と出会いたくて、毎日上を見上げているわけです。
【レアハロが「レア」な理由】
レアハロが「レア」であるのにはちゃんとした理由があります。それは、おもに成因となる氷晶の「1.形状の特殊さ」と「2.姿勢の限定」の2つの条件。

1.氷晶の形状の特殊さ
ハロの原因となる氷晶の形状自体がまれな場合、当然それが原因で現れる光象もまれにしか現れません。例えば、9°、18°ハロなどは、通称「ピラミッド面 Pyramidal Face」を持つ特殊な結晶が原因で、プレートアークは、氷晶が「テーブル状」という、非常に特殊な場合にのみ現れます。
2.姿勢の限定
氷晶の形状自体は通常のハロと同じでも、それらが「ある限定した姿勢」に揃っている時だけ見える現象があります。例えば、22°ハロと同じ六角柱状の結晶でおきるタンジェントアークは氷晶の「主軸=c軸が水平に近い姿勢」で揃っているとき、さらに超レアなパリーアークは、それに加えて「結晶面=2つのプリズム面」が水平に揃っている場合にしか現れない(見えない)のです。

超レアハロ:プレートアークたちと。
スタバのカップで太陽を隠して記念撮影。
2025年9月6日15:47 福井県南条SA iPhone15

ここでは現象の詳しい成因など、面倒な理論的説明はしませんので、詳しく知りたい方は、関連参考図書、Web Pageなどをご覧ください。
  
 1.幻日環  ★★★
太陽を貫いて伸び、天頂を中心にして大きな真っ白な円を描く。よって、太陽高度が高いほど視直径は小さくなる。日本では1周全て繋がって見えるような現象はまれ。

太陽の右側に伸びた幻日環
太陽から、薄い幻日環が幻日を通過して伸びている。これくらいの長さの幻日環であれば目撃はそれほど難しくない。 
2012年3月

幻日環の線分
幻日環は天頂を中心にして空を1周する巨大な現象。24mmレンズでは全体像を収めきれない。右側のぼんやり膨らんだ部分は120°幻日。
2009年6月

ほぼ360°繋がったの幻日環
太陽高度が低い時は空の大部分を占めるほど巨大。魚眼レンズで撮影。
2015年3月
対角線魚眼レンズで撮影した360°の幻日環
太陽高度は約60°。写野の中心が天頂、4隅が地表。(街灯の傘で太陽を隠してあります) 
2019年4月28日
 
←↑ 明るい環水平アーク出現の日に現れた幻日環。長時間にわたって見え続けた
対角線魚眼レンズで撮影・画像中央が天頂
2022年4月30日
  
 2.120°幻日  ★★★★
幻日環上に太陽から120°離れてできる2つの光点。太陽と幻日環で正三角形を作る位置に現れる。地平線に沿って全天を1周する幻日環を発見したら、一周ぐるりと目を通してみると見つけることができる。

120°幻日 2007年4月

120°幻日  2015年3月

太陽と2つの120°幻日の位置関係
太陽を頂点に、正三角形を作る位置に2つの120°幻日がある。魚眼レンズで撮影。 
2015年3月

120°幻日  2012年10月
 
 3.ラテラルアーク  ★★★★(下部ラテラルアークは★★★★★)
太陽から約46度離れてできる巨大な現象。特に下部ラテラルアークは太陽高度と共に形状が大きく変化する。よく46°ハロ(外暈)と間違われるが、見分けは非常に難しい。太陽高度と、同時に出現するハロ・アークの種類から判別が可能。

上から、上部ラテラルアーク、タンジェントアーク、幻日
ラテラルアークは淡いことが多いうえに、太陽から46°離れ、巨大なので気がつきにくい。
2013年11月
    

魚眼レンズで見た上部ラテラルアーク
全天の1/4近くを占める巨大な現象なので、かえって気づきにくい。
2013年11月
 
下部ラテラルアークと環水平アーク
(下は強調画像)
太陽高度は約70°。太陽高度が高いとき、太陽の真下で両者が接するが、58°より低いときは環水平アークはできず、ラテラルアークは46°ハロの接線となる。

上部タンジェントアーク・幻日環と共に見られた下部ラテラルアーク。原因となる氷晶の形状・姿勢が同じ現象は同時に現れやすい。
下部ラテラルアークは太陽高度によって形状が大きく変化する。
2025年4月
 
 
 4.パリ-アーク  ★★★★★
常にタンジェントアークの光芒の中にできる。明瞭に区別できるパリ-アークは日本では超レア。下写真の水平に伸びたタンジェントアークの上の皿を伏せたような光芒(矢印)がパリ-アーク。高緯度地域ではすばらしい写真が撮影されている。

 2009年1月 
  2024年10月 →
  
 5.22°以外の直径のハロ  ★★★★★
太陽の周囲には22°ハロ(内暈)以外に、9°、18°20°、35°、46°などいくつもの異なった視半径のハロが出現することがあり、水晶のように先のとがった結晶(ピラミダル結晶)でできることがわかっている。写真を撮る際にはフレアやゴーストの影響を排除するために、太陽を隠して撮影することが必須。
内側から9°、18°、22°の3つのハロ
18°は9時方向に淡く短い円弧として見えている。このときは、ぱっと見た瞬間に2重のハロに気づいた。
 2004年8月
薄い9°ハロ
9°ハロはレアなその他の直径のハロの中では比較的出現頻度が高い。とはいえ、チャンスは2〜3年に1,2回。
 2013年12月
 6.ウェーゲナーのアーク・向日点など  ★★★★★★

太陽高度70°時のミュレーション。矢印はウェーゲナーのアーク。左の写真と比べると形状と存在がよくわかる。太陽を中心とした明るい輪は22°ハロではなく、外接ハロ。
外接ハロ・幻日環・向日点とウェーゲナーのアーク
幻日環上の太陽と反対側に見えるぼんやりクロスした光の線がウェーゲナーのアーク。矢印は向日点。下は少し強調したもの。中央近くの明るい光点はゴースト。この日は全国でウェーゲナーのアークなどが撮影された「特異日」だった。
  2014年5月
 
 7.各種プレートアーク  ★★★★★
プレートアークは、ピラミダル氷晶による現象のうち、結晶のC軸が鉛直に近い姿勢で制限された極めて珍しい条件でのみ見られる現象。

それぞれの詳しい記述はここでは省略するが、右の画像には3種のプレートアークと、同時に24度のハロが存在している。

2025年9月6日 福井県南条SA GX7mk2
  
 8.特別なディスプレイ
特定の形状・姿勢の氷晶で複数の大気光象が同時に現れることがあり、これを「マルチディスプレイ」とよんでいます。大気光象好きはこんな現象に出会うことを楽しみにしています。

マルチディスプレイ
6つの現象が同時にみられた
 2014年2月 

上から、
幻日環(U字に見えている)
外接ハロ
下部ラテラルアーク(上向きの曲線)
環水平アーク(ラテラルと接する水平の線)

下部ラテラルアークがこれほど明るく見えることはほとんどない
2014年5月
外接ハロと幻日環のダブルリング
幻日環は太陽高度が高くなるにつれて視半径が小さくなりハロの直径に近づく

太陽高度59.5度=ほぼ最低高度で現れた、100度を超える長大な環水平アーク(16mmレンズで撮影)。
 2019年4月

  上記と同時に出現した幻日環。幻日環の中心が天頂 →
(対角線魚眼レンズで)
      
 9.報告・提供いただいた超レアハロ 
理論的には存在することがわかっているけれど、なかなか見ることができない現象を、ここでは「超レア現象」と定義します。
ひとりではなかなか見つけられない「超レア現象」だけど、たくさんの人が空を見上げているうちに、これらの現象を見つけることもあります。中には撮影した人から「何かわからないけど、空になんか変なものがあった」とお知らせいただくことも。
それを見て、私は驚くのです。「うわっ、こりゃすごい!」って。
 下に紹介する現象の画像は撮影者から問い合わせ、提供されたもので、掲載の許可もいただいています
ご協力ありがとうございます。
よって、無断引用はお避け下さい。 
 
レアハロ&ディスプレイ 2026年1月3日 宇都宮市 ぺこさん撮影
 
私のXに問い合わせがあった素晴らしい現象。少なくとも13の現象が確認できます。
本州でこれほどのマルチディスプレイが出現したのを私は見たことがありません。おめでとうございます!
  
超レアハロ new : 2025年1月 幻月環と120°幻月 和歌山県 福田修武氏撮影 
どちらも「超」がつくほどのレア現象。太陽による同現象はある程度の頻度で見られるのですが、月による現象はチャンスが満月前後に限られる上に暗くて、発見・観測がさらに困難です。 
  
超レアハロ1 : 2013年8月 プレートアーク 和歌山県 福田修武氏撮影
9°、18°、23°24°プレートアークと呼ばれる超レア現象 おそらく9°、18°、23°のプレートアーク
くさび状の氷晶でできると言われる非常にまれな現象。特に、右の日没時の写真は、日本でこのような現象が撮影されたのを他に見たことがない。
プレートアークに関しては、Atmospheric Halos and The Search for Angle X
by Walter Tape & Jarmo Moilanen  2006
 に詳しく解説されています。 
     
超レアハロ2  2018年6月23日 サンベックスパリーアーク 三重県 鵜山義晃氏撮影
太陽の上に2重のV 拡大写真

太陽の上にある二重の「V」字の光芒のうち、下は通常のタンジェントアーク、上がサンベックスパリーアーク。日本でこの現象がはっきりと撮影されたのを見たことがありませんでした。
この日はこの他に9°ハロ、下部ラテラルアーク、環水平アークも出現したということ。

 詳しくは鵜山義晃さんのHP:http://kokoten.raindrop.jp/
    
超レアハロ3 : 2014年5月24日 13:14〜13:38 ウェーゲナーアーク他 ブログ「月太陽空写真」管理人さん撮影
私がウェーゲナーのアークを観測した2014年5月24日は、主に中部〜東海地方の広いエリアで非常にレアな現象が見られた、「レア現象の特異日」でした。撮影された当人は気がついておられなかったのですが、この写真には私の写真(金沢)よりも明瞭に各種の現象が写っています。右は私の方でわかりやすいように若干強調した画像です。
日本でこのような現象を観測できるのは数年〜10数年に一度ではないかと思っています。
許可を得て掲載しています。
NIKON D600 + AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
超レアディスプレイ : 2013年7月 5つの異なった直径のハロ 仙台市 菅原洋一氏撮影
5つの同心円のハロ以外に、タンジェントアークも存在しているが、さらに詳しく見ると、9°の幻日、プレートアークなど、さらにレアな現象も含まれている。右はakinokoによる強調画像
   
超レアハロ4 : 2020年5月30日12時10分 驚異的な多重ハロディスプレイ  静岡市葵区のSunnyさん観測・撮影
 
  

ハロの季節の終盤に出現した、とんでもないハロ
9°・20°・22°・24°・35°、そして極めつきは46°ハロの同時出現です。
日本でこれほどの明瞭な現象はこれまで見たことも、報告を聞いたこともありません。2枚目右は少し強調して、解説を入れた写真。
24°ハロがこれだけ分離・明瞭なのも珍しい。

  
  広範囲で観測されたレアハロ: 2024年5月15日 ピラミダル氷晶による多重ハロ 

8時16分頃 新潟市:照るるさん撮影

18°20°22°ハロの存在が分かる
 
8時55分頃 仙台市菅原さん撮影 上記に加えて9°ハロ →
この日は新潟〜東北地方の広い範囲でレアな多重ハロが観測された。(上記は掲載許可を頂いています)
 
 超レアディスプレイ : 2021年1月11日 パリーアークとマルチディスプレイ 三重県 鵜山義晃氏撮影
 
明瞭に分離しているパリーアークを含むマルチディスプレイ。
この画像の他にも下部ラテラルアーク。120°幻日など同時に10の現象が観測された。

 詳しくは鵜山義晃さんのHP:http://kokoten.raindrop.jp/
   
  
このページに掲載した物の他にも、世界中の高緯度地域では数多くの素晴らしい「レアハロ」が観測されています。そんな写真を見るたび、「北極圏に住みたい」と思います。
  
       
 独り言:世の中には、自分が今まで見ていなかったから「レア」だとか「珍しい」という人や、わかったように説明しているwebサイトがたくさんあります。人間には、「意識しないと視野に入っている物を認識することが難しい」という特性があります。通常の22°ハロが、時々新聞で「珍しい現象」と記事になるのがその典型です。 
特にwebでは誰もが自由に発信できるので、この種の誤りがたくさん見受けられます。「レア」現象にはレアである確かな理由(原因となる氷晶の形状、姿勢など)があります。


発信する側にはそれなりの責任があるはずですし、見る側、受け取る側には判断(ネットリテラシーですね)が必要・大切です。

ハロ等の成因は綾塚さんの「天空博物館」に解説されていますので、興味のある方はご覧ください。
   
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