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久しぶりの肉眼彗星Tsuchinshan-ATLAS(紫金山・アトラス) C/2023 A3の追跡記録
1997年:ヘール・ボップ 1998年:百武以来、久しぶりの明るい彗星だったC/2023 A3 Tsuchinshan-ATLAS。
ただ、近日点を通過して明るくなった10月は異常な悪天候で観測・撮影が数日おきにしかできず、おまけに観測室から見る彗星はスライドルーフの一番高いところにしており、高度30度以下になると遮られてしまう悪条件での観測に。
それでも、わずかのチャンスに写野いっぱいの明るい彗星を堪能した。
 
おことわり

TOAでは近日点通過後は尾が長く写野に収まらないため、伸びた彗星の尾が対角線方向になるように配置してあります。
(私のその他の天体画像は一部を除き「北上」になるようにして撮影してあります。)
近日点通過前
 
5月2日 初観測(最接近5ヶ月前) 10.6等

肉眼彗星の期待がかかった紫金山・アトラス彗星
6月3日 初観測から1ヶ月後 10.3等

わずかに明るく、尾も成長している 
   
9月27日 近日点通過 
   
10月8日 近日点通過後、SOHO衛星の視野に入ってきた紫金山・アトラス

SOHO : SOHO LASCO C3 から (キャプションはakinoko) 

夕方に回った10月中旬以降、日没1時間後の彗星の位置


国立天文台webサイトから引用
(解説)紫金山・アトラス彗星の観察(2024年10月)  
   
 10月12日18時19分 高度3.1°1.4等 

期待された彗星が太陽を回って夕方に姿を現すが、高度は低い
10月12・13日の撮影ロケーション

観測地は能美市手取川河原 風が強かった
 
 10月13日18時13分 iPhoneで撮影した大化けした姿

日没後、空が暗くなると共に長い尾を持った姿が明らかに
 
 10月13日18時28分 高度5.04°1.6等

長さ8〜10°の直線的な尾
 Nikon Z6U+Sigma150mm F2.8 ISO1600/2秒露出  
   
10月18日 2.9等 アンチテイルと彗星の構造  fl:1100mm(対角線画角0.85°)

ようやく雲間が見えたわずか2分間を突いての撮影 Gain371・露出はわずか2.4秒
 
   
 10月20日 4.0等 fl:780mm(対角線画角1.17°)

3.8秒の露出でこれだけの尾が写るほど明るい
10月20日 2段階の露出での頭部の流線強調画像

核から数本のジェットが流出している 
   
 10月21日(4.0等)と5月2日の比較 fl:1100mm

同一光学系での撮影・5ヶ月半でこれだけ大きく、明るく変化した
外気温順応・カメラ冷却中

日没時の彗星高度は35度程度
自宅観測室の西側ルーフの高さまでわずかしかない
   
10月25日 5.0等 fl:780mm

薄雲に悪戦苦闘 
 10月30日 D810Aによる広写野撮影 5.9等 

2024年10月は天候が悪く、連続して追跡できない状態 
 
10月30日 fl:250mmでの撮影(対角線画角3.66°)

薄明と街明かりでバックのカブリが激しい
  
 
11月3日 6.6等 fl:780mm

次第に暗くなり、尾も短くなると同時に、 この頃から彗星は天の川の中に入り星の数が増える   
   
11月8日 7.3等fl:780mm

地球から離れると共に移動速度も遅くなってきている
 11月8日18時25分(薄明終了時刻)の彗星の位置(

11月に入ってから彗星は天の川に西片の中に位置しているため、写野中の微光星が急に増える
「〇」は一日毎の彗星の位置
ステラナビーゲーターによる表示
11月9日 7.4等 fl:1100mm

全体像とその核付近  
 11月9日 撮影中のPCモニタ画面
  
   
 11月11日 7.6等 fl:780mm

月齢9.8/月明かりの影響の中の撮影  
11月11日 月明かりの中の撮影

10日以降は月明かりのためにどんどん撮影が難しく
   
11月12日 7.7等 fl:1100mm

月齢10.8/月明かりの影響大で尾の淡い部分が写らな
   
11月14日 8.0等 fl:1100mm少しトリミングあり

月齢13.0 月明かりと雲のために苦労する
11月14日の空のようす 雲間を突いての撮影に

彗星は低く、月齢は大きく、雲も流れる悪条件
   
11月19日 8.4等 fl:1100mm

5日ぶりの雲間 核が進行方向に長く伸び、イオンテイルとダストの方向がズレてきている
 
左と同じ画像に周囲の恒星の明るさを入れたもの

彗星は天の川の暗黒帯の中、明るい恒星の多いエリアに入って、微光星が急に減少。付近には9〜11等の明るい恒星が多い
11月25日 9.0等 fl:1100mm

去りゆく紫金山・アトラス
日本海側は冬の悪天候に突入、1週間ぶりの観測 彗星はついに9等台に

  日没前から観測室の温度順応中

   
12月2日 9.4等 fl:1100mm

冬の悪天候が続き1週間ぶりの観測 彗星は再び天の川の中
光度9.4等と暗く尾も短く、、、、そして西空低く
 12月2日の彗星の位置(

11月1日〜12月7日の彗星の移動
この期間に彗星は天の川の暗黒帯を渡って西片へ
2025年4月26日 12.5等 fl:1100mm

最接近から5ヶ月半、地球からどんどん遠ざかる姿
短い尾、拡散状のコマが見られる
   
【総括】
久しぶりの肉眼彗星となった C/2023 A3 紫金山・アトラス。
7月の時点では「近日点通過時に崩壊する」という有名研究者の予報もあり、正直期待していなかったが、近日点通過後の10月初旬の明け方、東の空に長い尾をひく姿を双眼鏡で確認。

夕方に回った10月12・13日には手取川で予想以上に大化けした姿を目にし驚いた。
 
彗星の高度が上がる10月20日以降は自宅竹ヤリ観測所からの撮影を行ったが、残念なことに10月〜11月は例年になく天候が悪く、観測チャンスは限られた。
 
この彗星はダスト成分が多いためか、彗星特有のイオンの緑色がなく、また尾が直線的で明るい割には変化が少なく地味な彗星だった。11月中旬からは、広がったダストの尾の中に、方向の違う鋭いイオン(プラズマ)のをが明瞭に見えるように。
  
11月下旬から金沢は冬の悪天に突入。彗星はまだ明るいが、低くなる高度と共にますます観測が困難に。
それでも5月の初観測から半年、近日点通過から1ヶ月ちょっとの間、久しぶりに彗星で楽しませてもらった。
   
おまけ 10月13日の彗星の疑似3D写真

時間をおいて撮影した画像を並べ、雲の移動を利用して疑似3D写真(平行法)にしたもの
雲の向こうに彗星があるように、立体に見えます。
   
         
   
 
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